原動力

軽井沢の千住博美術館のギャラリーで浅間山の作品に取り組む千住博の制作ドキュメンタリーが流されていて、その中で千住博が、自分が描く原動力には「発見」がある、特に強い感動は「再発見」にある、という話をしていた。

あくまで記憶なので、発言や趣旨が不正確かもしれないけれど、それを観て、学問でも、文章を書くという行為でも、なんなら生きているということでも、「発見」が原動力だし、「再発見」が強い感動であるということを感じた。

 

とりわけ、自分がどうしてわざわざ文章を書こうと思うのかということについて、なんとなく「そうだったのかもしれない」と思った。もちろんベースには発見をしたいという欲求があるのだけれど、それ以上に発見した感動を表現しなくてはいられないのかもしれない。

それらはいずれも個人的なもので、誰かに伝える必要もなければ、求められてもいないけれど、感動が僕を動かしているのかもしれない。よくよく考えてみると、そうでなくては人は生きてなどいられないのではないかとも思う。

 

本を読むにしても、何かを考えるにしても、そこには発見を求める心があるように思う。若い頃はもっと新しい知識、新しい感覚、新しい感性に触れたくて、小説や実用書も読んでいたけれど、だんだんと同じようなものを繰り返し見返すようになるのは、「再発見」の感動を知るようになるからなのかもしれない。