「RPGでどんなに強くなっても、現実の世界で強くなったわけではない。それに気付いた時から、ゲームに取り組むのが怖くなった。」
現実と空想の境界は、普通に思う以上に曖昧だと思う。ライトノベルの世界には、「転生トラック」というものがあるらしい。トラックに引かれて、違う自分が始まる。それは現実のすぐ隣に空想を願う心のように思う。
高校生の時に演劇に惹かれて、数ヶ月の間、演劇部に所属した。自分が役割(ロール)であるというのは、安心できることだと思う。
何かを演じることができるのであれば、どんなものでも演じられる。だから、何者かであるということは、何者でもなくても良いということだと思う。少なくとも、そんな風に僕は思っていたのだと思う。
実際には、何かを演じることができるというのは幻想で、演じようとすればするほど、その人の本性が明らかになると感じる。逆に、もし本当に演じてしまえるのなら、何者でもなくなってしまう。人格は崩壊してしまうだろう。
それがどうしてなのかは、はっきりとはわからないが、幻想を望む心はその人の本性をきれいに映し出してしまうように思う。少しずつで良いので、自身に没頭するように生きていけるようになると良いなと思う。