学生の頃は、周囲にはアカデミックな仕事に関わる人たちが多く、周りの人たちはそういう話を主にしていたように思う。また、合気道をやっていたので、武道や日本文化について触れる機会も多かった。
仕事を始めると、コンサルティングやコンサルタント的な文化に触れることが多くなった。マーケティングや広告に関わる人とも触れる機会が多く、そういう文化に触れることが増えた。
あまりそれが肌に合わなかったせいもあって、今度は採用や人材に関わる人と仕事をすることが増えた。採用や人材の仕事にも特有の価値観や文化があって、周囲にはそういうものに慣れ親しんだ人が多くなった。
その後、財務や金融、主にベンチャーファイナンスの仕事を横で見ることがあって、そこにはまた違った人たちがいた。最近はアートや工藝、ファッションに関わる機会が少しだけあって、そういうものがよく目に留まるようになっている。そこにはそこで、また違う空気や文化が流れているように思う。
僕は結局、どんな場所にも馴染めないなと思う。それぞれが有している論理や正しさに、身を投じることができない。それぞれの場所には、それぞれに崇拝されている人物や主張があって、たくさんの正義がある。そして、それは大抵の場合、影響力を持つがゆえに、周囲にいる人々の影響もあって、歪んだ時空を形成しているように、僕には感じられてしまう。
当たり前なのだけれど、人と接していると、すぐに比べたくなる。そうであるにも関わらず、身を投じたり、勝ち負けにこだわり続けることはうまくできない(難しいのは、続けることだと思う)。僕はしばしば、人がどうやって生きているのかがわからなくなる。