視界

確からしい結論を導くために多くの情報が必要なのかというと、必ずしもそうではないと感じる。

もしかしたら、判断できる範囲においては、情報量と結論の確からしさは比例するのかもしれない。一方で、情報を多く保有し過ぎて、どのように考えて良いのか分からなくなる、ということもある。

 

人間というのは案外に不便なもので、何を見るのかということについて、かなり意識しないとコントロールできない。かつ、それを完璧にコントロールすることは不可能である。

真剣に考えようとすればするほど、見ようとしてしまう。しかし、見たものからの情報の受け取り方を制御することは困難なので、大事なことは「見ないようにする」ことだと思う。大抵のことは、見ていないからどうにかなっている。

 

いざ追い込まれた時に「見ないようにする」ためには、普段はむしろ良く観察し、なるべくシンプルでクリアなビジョンを得ようとすることが大切なのではないかと思う。焦っているタイミングで物事をシンプルに、クリアに捉えることは極めて困難で、通常は視界は煩雑さを増し、情報処理は混乱する。

渦中にはいない、経験の豊かなアドバイザーが近くにいれば、そういった方に話を聞くのも良いと思う。剣を振るいながらは、戦局はなかなか見えないものである。

 

経験は視界を更新してくれる。嵐が去った後には、そこで見たものを自分なりに捉え直し、自らの視界がより研ぎ澄まされていくと良いなと思う。