誇示

僕は生来が賤しいからだと思うのだけれど、誰かだけが勝っているとか、誰かだけが偉いとかいうことが得意でない。そういうことが好きでないとか、気分が良くないとか言ってもいいかもしれない。

貴い人間はそんなことは思わないだろうから、やはり僕は賤しいのだと思う。賤しいから、貴さに対する僻みがあるのかもしれない。

 

序列というのも、仕組みはなんとなくわかるし、大人になったことでそれの大切さや効用も感じるけれど、便宜以上の序列というのはあまり好きでない。人は偉いから上に立つのであって、上に立つから偉いわけではないと思いたいのだと思う。

こういう考え方は日本的であったり、古典的であったりするのだけれど、人は上に立つほど、首を垂れて生きる方が美しいと思う。

 

僕自身、それでたくさん失敗をしてきたし、今でも失敗してしまうけれど、他人に自分を誇示してもあまり良いことは無くて、失うことも多い。僕は経験的に、自分を誇示することで損なうことが多いと感じているが、逆に誇示しないことで損なうことが多いという経験をする人は、誇示する方が理に適っていると感じて、誇示することを止めないのだろう。

わざわざ貴賤や序列を問題にすること自体が面倒だけれど、それも生存戦略や役割分担の結果に過ぎないと思えば、なんとなく動物的で、可愛いものである気もしてくる。少なくとも僕には、自分を偉く見せ続けることは体力的に難しいと思うので、それが出来るというのも才能ではあるだろうと思う。