If the world were totally regular and homogeneous, there would be no forces, and no forms. Everything would be amorphous.
But an irregular world tries to compensate for its own irregularities by fitting itself to them, and thereby takes on form.
C.Alexander, “Notes on the synthesis of form”, 1964
“形”が存在するのは、世界がイレギュラーである(不規則さを有している)からである。クリストファー・アレグザンダーは、「世界が完全に規則的で、均質であれば、そこには力が無く、形は存在しないだろう」と考察している。自然科学的な立場から見ると、物理法則や化学法則は規則的であるかもしれないが、それぞれの時空点に働く”力”が均質でないことが、世界に”形”を出現させている。そうだろうと感じる。
クリストファー・アレグザンダーのこの考察は、ダーシイ・トンプソン(D’Arcy Wentworth Thompson)が『生物のかたち(On Growth and Form)』などで導入した、「diagram of force(力の図式)」「the functional origins of the form(形の機能的起源)」というアイデアと通じている。
世界の不規則さによって”形”は存在する。逆にいうと、”形”は世界の不規則さを調和させている。調和の度合いが高ければ、その”形”は長期間に渡って安定して存在するだろう。一般的には、「素晴らしいデザイン」として長く愛される存在になるということだろうと思う。
調和の度合いが高いというのは、広い時空間に対して、その”形”が適合(fit)しているということだと思う。デザインにおいては、それに関与する時空間の要求が問題を定義する。関与する時空間の要求、その文脈における力の全体を、”コンテクスト”と捉えてよいと思う。
世界が不規則であるがゆえに存在する「”コンテクスト”が持つ”力”」を理解し、それへの”適合”を通じて、調和的な”形”を生み出す。これがデザインという行為が持つ構造である、とここではしたいと思う。
これでデザインを検討する上で重要となる”コンテクスト”、”適合”、”形”の3つの要素が導入され、それぞれの要素が持つ内容がなんとなく捉えられたように思う。
ここからは”コンテクスト”と”形”を繋いでいく”適合”の方法について、理解を深めていきたいと思う。