デザインと規格

デザインとアートの違いの1つとして、それが複製を前提としているかどうかという点がある。デザインは基本的には複製を前提としており、再現可能なものである。

 

複製できるためには、それが何かしらのルール(規格)によって記述されている必要がある。その記述は、Aという人が読んでも、Bという人が読んでも、同じように解釈されることが望ましい。

記述に用いられるルールが厳密に定義されていればいるほど、解釈の幅は小さくなり、「複製」という観点では精度が高くなりやすい。解釈の幅が小さいことが必ずしも良いことかどうかは別にして、複製を効率的に行うためには規格の定義が有効である。

 

例えば、オフィス用ビルにせよ、居住用マンションにせよ、天井の高さのバリエーションはおおよそ決まっている。建物によって寸法のルールが異なると、建築に関わる人々はいちいち測量しないとどのように作業して良いかわからない。また、建築の部材をリーズナブルな価格で揃えることも困難になるだろう。

もちろん、独自に造作することもあるし、建築の規模がある程度大きければ、その建物のためだけに独自の規格を構成することも可能であろう。ただ、それはコストとのトレードオフになる。

 

何かしら大きなデザインに携わる場合には、規格を理解すること、規格を意識することがとても重要だと思う。