素朴な話なのだけれど、遠くにあるもののことはわかるのに、近くにあるもののことはわからない、ということがある。そして、人間というのは、近くにあるものに関心を寄せる生き物だと思う。
「冬になれば、どんな星座が夜空に見えるのか」より、「明日は晴れるのか、曇りなのか、雨が降るのか」の方が難しい。ずっと晴れ続けたり、ずっと雨が止まなかったりということはないということはわかっていても、暑くて嫌だなとか、雨ばかりで憂鬱だなとか思う。
目の前のことに心を奪われすぎずに、大局を観て、自分の心が望む方向へと進んでいけると良いなと思う。そのためには、大局がどう動いていくのかということを、なるべく理解する必要がある。
教訓めいた熟語で、なんとなく気恥ずかしいが、例えば「晴耕雨読」というのはよい言葉だと思う。晴れていれば田畑を耕し、雨が降っていれば読書をする。理に適っているし、とてもシンプルだと思う。
僕は、「今」を生きるということがとても大切だと思っている。そのためには、「今」とは何かということを知らなくてはならないだろう。「今」は今だけではできていないので、今を知るために過去や未来を知る必要があるし、その中の法則や原則を知る必要がある。
今を見つめないと「今」はわからないけれど、今を見つめていると「今」に翻弄される。今を気にしすぎて、「今」を生きられないということになる。「今」というのは、それ自体が大局で、無限なのかもしれないと思う。