美しい問題解決

We must now try to find out how we should go about getting good fit.

C.Alexander, “Notes on the synthesis of form”, 1964

「問題」に対して求められていることは「解決」なのだから、解決できればなんでも良い。しかし、「美しさ」を感じる問題解決が存在することも確かだと思う。そして、問題解決の中に「美しさ」を求めるのが、デザインという行為の1つの側面だと思う。

 

クリストファー・アレグザンダーは、いきいきとした空間や建築に備えられている特徴の1つとして、「力強いセンター(strong centers)」というものを挙げている。

適合(fit)の概念から考えた場合、センターの力強さとは、対象全体が晒されている多種多様な視点に対して、それが適合を感じさせるということだと思う。こちらから見ても適切にはまっているし、あちらから見ても適切にはまっている。まるで自ずから、すべてがそれを中心に構成されているのではないかと感じさせるのが「力強いセンター」だと思う。

 

例えば、トイレの水に泡を張り、飛び撥ねを防止するという仕組みがある(説明がうまくなくて、伝わらなかったら、ごめんなさい…)。あれはおそらく、「飛び撥ねを防止する」というのが実際的な機能なのだと思うが、トイレに求められている「清潔さ」というセンターに適合しているように感じる。トイレにおける「清潔さ」は力強いセンターになりうると思う。

また、小学校や保育園のように、広い年齢にわたって子どもが通う施設の場合、低層階(1階)に年齢の小さな子ども達の教室が、高層階(2階や3階)に年齢の大きな子ども達の教室が、割り当てられていることが多い。実際的には避難時の効率が図られているのだと思うが、階段を上がることによって、学年が上がることが象徴され、子ども達に誇らしさや責任感を醸成しているように感じる。これは、教育施設における「成長」というセンターに適合しているように感じる。

 

いずれにせよ、なぜ「美しさ」を感じるのかということを、自分なりに考えていくことは大切なのではないかと思う。