結局、物事というのは時間をかけただけしか深まっていかない、と思う。一方で、時間をかけていくことで、すぐにではないが、少しずつ深まっていくものだと思う。
勝負ということになると難しいけれど、自分の中ではどこまでも深まっていくはずだと思うし、深めていこうというものがないと、生きる甲斐というのは些細なものになるように思う。
勝負ということになると、拙速がむしろ好ましいこともある。深謀遠慮と同時に、神速果断ということが必要になる。だから、世の中はどちらかというと拙速に溢れていく。
「大器は晩成す」という言葉を知っていても、人は小成を求めるものだと思う。すぐに成果が出ないと嫌になってしまうし、ちょっとした成果で競い合い、一喜一憂してしまう。もちろん、何を大切にするかは人それぞれだけれど、時間を「有用」に使うことによって、長い目で見るとものすごく時間を無駄にしているということがあると思う。
時間は大切、ということを意味する言葉はたくさんあって、「時間は大切だから、なるべく有用に使おう、意味のあることをしよう」という意味で捉えられていることが多いように思う。でも、本当は逆だと思う。
時間は大切だから、ちょっと考えて「有用」だと思うことなんかに対して、効率的に使っていてはダメで、むしろ無駄だと感じることに費やした方が良い。有用なことが有用であることはわかり切っていて、無用なことが有用であることをわかるために、時間というものはあるのではないかなと思う。まあ、有用そうなことに対して頑張れない自分への言い訳でもあるのだけれど…。