袂別

袂(たもと)を分かつ、もしくは袂別(べいべつ)という表現がある。 論語の子罕第九に、共に学ぶことはできても、共に歩いていくことができるとは限らないという。さらに、共に歩けたとしても、共にひとところに立てるとは限らない。共...

差異と認識

人間は、というより人間の脳は差異・差分によって物事を認識しているという。「一点を見つめる」という表現はあるが、完全に眼球運動を止めた状態で、周囲の環境の光も変化しない場合は、徐々に脳は像を結べなくなり、真っ暗になる(そう...

環境

人にせよ、組織にせよ、内的に変化することは困難で、基本的には環境によって変わるものだと思う。同時に、変化というのは基本的には不快なので、変化それ自身に目を向けると反応を誤りやすいと感じる。   一義的には「変化...

サイバネティクス

情報化、デジタル化と言われて久しいが、20世紀の中葉に情報・通信の理論化が始まった時点で、それが極限まで突き詰められていくことは予感されていたとも言える。 理論を推し進めることは、近代、そして科学の宿命だと思う。 &nb...

回路

簡単に言えば、「慣れ」ということなのだろうと思うが、人間の身体であったり、思考であったりは環境に適応して硬直しやすいものだと思う。 神経回路に限らず、物事はエネルギーがもっとも低い状態で平衡しようとする傾向があるので、「...

在り方としての技術

現代技術のうちに存する開蔵は一種の挑発[Herausfordern]である。この挑発は、エネルギーを、つまりエネルギーそのものとして掘り出されうるようなものを引き渡せという要求[Ansinnen(無理難題)]を自然にせま...

麻痺と調和

人間に限らず、あらゆる動物がそうなのかもしれないが、少なくとも人間は麻痺していないと、とても生きていられないと思う。 麻痺というより、「知覚や感覚、感情の遮断」というくらいの方が正しいかもしれない。そもそも脳は、受信する...

不用意さ

それなりに気を付けてはいるつもりなのだが、気付かないうちに、不用意に、何かを大切にしたいと思ってしまうなと思う。あらゆるものは、指の隙間からこぼれ落ちていく。こぼれ落ちるのを悲しいとか、寂しいとか、いっそ醜く執着する気持...

永久的

人間というものは不安だからなのか、永久的なものを求めてしまうと思う。   永久的であるということと、不変であることはイコールではなくて、東洋では「変化」こそ永久的であると捉える傾向がある。中国の革命思想ほどドラ...

過ぎ去るもの

諸行無常、という。『平家物語』の有名な冒頭にも現れる。言葉としては10代の頃から知っているし、なんとなくそうなのだろうとも思う。   最近、物事が過ぎ去るのが早いと感じる。変化も早いと感じる。これはおそらく、僕...